株式会社アストレイズ
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2017年9月の投稿一覧

「枯れた技術の水平思考」2017.9.1.

近隣の図書館に、2週にいっぺん通っている。

非常に大きい図書館で、蔵書も豊富。

生物学が好きなので、古生物学から、未確認生物まで、ピンキリの本を毎回テーマを決めて掘り下げているのだが、最近、玩具関係の本も複数有る事を見つけ、幾つか読んでみたのだが。

正直、学ぶ事だらけである。

自分が生まれる前後位から現在に至るまでは、色々な人の伝聞や商品その物が伝える情報で、自分の中で組み立てが出来ているつもりなのですが、

戦前〜の歴史や、自分が触れていない玩具の歴史等には、まだまだ学ぶ事が多い。

そんなワケで、幾つかご紹介をば。

ご存知北原氏による、食玩の歴史。江戸時代から始まる「おまけ」の歴史。戦中の苦心から、キャラクターマーチャンへの移行まで、食玩がたどって来た様々な紆余曲折が語られている。

マルサンの歴史。創業家から経営を受け継いだ当時の社長による、伝聞を綴った本。

戦前から続くメーカーの転機、そして、ソフビとプラモデルの歴史書としては、非常に重要な歴史書になってます。

タカラの創業者佐藤安太氏の功績を綴ったおもちゃの昭和史と、佐藤家の代替わり劇を綴った「タカラ」の山。どちらも、昭和玩具史の大事な1ページを綴った本と言えます。

現在、世界第一位の玩具会社にまで成り上がったLEGO社の、外から見ると常勝に見える歴史の陰に隠れた、光と闇を綴った本。

僕にとっては、最高にして完全と思っていたLEGOの行き詰まりから、再始動に向かう様々な流れが読み解け、それぞれバラバラに見て来たシリーズが、一本の線に繋がる重要な一冊。

知人でもある五十嵐さんの著書。僕に取っては、よく知っている部分の歴史をまとめて1冊にしていただいた、そういう気持ちになれる本。

 

で、ようやく本題。

上記の「ロボットアニメビジネス進化論」は購入した本なのですが、図書館も、流石に玩具関係の歴史にまつわるものだけだとそんなに本も少なく。

ちょっと、別の方向にも手を伸ばそうと手に取ったのが、これ。

ゲームウォッチの生みの親として有名な、横井軍兵さんに関する本。

僕としては、ワンダースワンとその専用ゲーム「グンペイ」で名前を知った方で、ゲームの凄い人、というレベルの認識だったのですが、この人、「玩具」の人なんですね。

その思考には、常に、遊び、という概念があり、その遊びを発明、構築する方法として彼が言葉にしたのが、表題にもなっている「枯れた技術の水平活用」。

イチイチ新しい技術を開発し、それを活かす為に、高額な商品を作る暇があったら、従来から有る技術や発想を、角度を変えて見直す事で、新しい価値観を創出できる。

簡単に言うと、足し算で物を作るな。かけ算で作れ。ってことでしょうか。

近年、どの世界でも起こっている事ですが、良いもの、と評価されるのは、手数がやたら多くて、作り込まれたもの、か、最新の技術を積んだもの。どちらも非常に高額になってしまう物ばかり。

しかし、まったく無いところに、コストのかからない既存の技術を上手く流用して新しい価値観を作り出せば、新しい市場に、リーズナブルな価格で商品を提供できる。

で、この考え方は、おもちゃ屋が考えるべき考え方だと思うんですね。

玩具ってのは、ニセモノを作る商売です。どこかに本物があって、それを手に入れられないから、とか、本物の体験を得る事が難しいから、それこそ、「枯れた技術の水平思考」で、なるべく安価な形でお客さんに提供する。

様々な人の人生を体験する為に、盤ゲームを作った人生ゲームとか、判りやすいですよね。

そういった思考を、最近忘れつつ有る気がするのです。

なるべく安価に、「楽しい」を提供する。

それが、オモチャじゃないですかね。

そんな事を、再認識させていただきました。オススメです。

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